【雑談】帰省
先日、日帰りで岐阜に帰郷してきた。
親族(叔父)の葬式だったんだけど、亡くなった叔父は父親側・母親側の親戚で重なっている人も多く、92歳の大往生ってこともあって、不謹慎かもしれないが今回は「親戚・親族への顔見せ」も兼ねて参列した。
参列者は、思ったとおり久しぶりに会う親族・従兄弟ばかりで、ぶっちゃけ同窓会感覚。
大半は叔父の血縁関係者なんだけど、こんな親戚いたか?というような謎の人、存在だけは聞いていた子供や嫁さん、そしてオレの父親の古くからの仕事関係者や、ご近所さんなどもいたりして、なんだかんだで、参列者の半分くらいは面識のない人だった。
「おお、君が噂に聞いた、××さん(←親父の名前)ところの次男坊か! 初めまして!」
「は、はあ・・・」(;・∀・) ※リアクションに困る
「おお、コウジかあ! やっとかめやねー! ちーっとも帰ってこんもんで、どうしとるんやろって心配しとったんやて」
「は、はあ・・・」(;・∀・) ※昔から可愛がってくれた親戚の叔母さん
「おお、コウジかあ! 誰やと思ってまったげ-。なにいっとんの、お前が小さい頃なあ、オレが(以下ry)」
「は、はあ・・・」(;・∀・) ※まったく記憶になく、一番困るタイプ
そして式の終了後、たまたまオレが一人になったときに、白髪の中年男性がオレに近づいてきた。年齢は還暦前後、身長はオレより低かったので、165~170くらいだろうか。
「コウジくんかあ。見違えたな」
その男性は、具合が悪いのかマスクをしていた。「もうコウジくんは覚えていないだろうけど、キミが小学校に入学する以前に、僕はキミたち兄弟をかわいがっていたんだよ」
また出た! さっきのパターンだ。申し訳ないが、まったく記憶がない。
「いやあ、立派になって。他の兄弟は岐阜にいるからちょくちょく見かけるけど、コウジくんだけは東京だから、ご両親から聞くだけだったからさ」
え? 誰? 誰?( ゚Д゚)
「昔、キミのお父さんが起業したばかりのころ、僕は従業員だったんだよ。なので、暇なときはキミと遊んであげていたんだよ。キミが一番僕になついていたんだけどなあ。さすがに、覚えていないだろうけど」
え? 誰? 誰?( ゚Д゚)
懐かしいといいながら、葬式の場所とはいえ、どことなくテンションが低くて元気がなさそうだった。
「キミが6歳のときに僕があそこの喫茶店に連れていったとき、トイレの鍵が特殊で出られなくなって大騒ぎになったんだよ。もう覚えていないだろうけど」
おおおおおおおお、そのトイレに閉じ込められてしまった記憶はハッキリ覚えている!(トイレの鍵は千差万別だから、6歳では難しいものもあった)
オレ「すみません、大変失礼ですが、どなたでしたっけ?」
「○藤っていうんだけど」
マスクを取る○藤さん。
頬がげっそりとこけている。白髪と相まって明らかに具合が悪そうだ。
オレ「あれ? もしかしてHさん(下の名前)?」
「そうそう!」
ニッコリ笑うHさん。
オレ「なんだ! Hさんだったら、声かけの段階で名前いってよ!」
Hさんは、たしかに遊んでもらった覚えがあるし、顔もぼんやり覚えている。オレの母親からも「Hさんって昔いたでしょ? あの人、今ね」と、たまに聞いていたから、ずっと記憶に残っていたのかもしれない。
いやあ、じつに38年ぶりの対面だ。
オレ「わかる、わかるよ! Hさん! オレ、トイレに閉じ込められたの覚えている! いやー、懐かしい( ´∀`)人(´∀` )」
しかし、面影がほとんどない。まるで別人だ。
名乗ってもらわないと、絶対にわからなかった。
オレの知っているHさんはもっと体格がよかったし、もっと大男だった。
オレ「Hさん、身長も体重も小さくなった?」
「いや、身長は昔から変わってないよ。ただ、体重は減ったね。最近、肝臓を悪くしちゃってね」
なるほど、当時6歳のオレから見たら、165センチのHさんが大男に見えたわけだ。
オレの脳内イメージでは、スポーツ選手や格闘技の選手みたいなカッコいい人だったんだけど、ここにいる実際のHさんは、身長も体重も、オレより二回りくらい小さい。
少しショックだった。
「お兄ちゃんとかは岐阜にいるからたまに会うけど、コウジくんだけはご両親から聞くだけだったからさ。ずっと顔を見たかったんだよ。いやー、30年も経っているのに、覚えていてくれてうれしいよ。そうか、あのコウジくんが、こんな立派に・・・」
Hさん、よく見たら涙ぐんでいる。
でも、ちょっとオーバーな人だな。
せっかくなので、記念写真を撮って解散。
オレ「Hさんも、お元気で!」
「いやー、今日は来てよかった! こんなに立派になったコウジくんに会えた」
涙ぐみながら握手して別れた。
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葬儀場をあとにして、帰りの車の中は、両親とオレたち兄弟だけ。
オレ「いやー、さっきHさんに38年ぶりに会ったよ」
親父「あれ? お前、そうだったっけ? あ、そうか」
どうやら親父たちは、オレとHさんの劇的な再会に気がつかなかったらしい。
親父「Hさん、C型肝炎で娘さんから肝臓を移植してもらったんだって。お父さんたちも今日、久しぶりに見かけたけど、やせ細っていてビックリした。あれは回復していないな・・・」
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そして帰りの新幹線、泣いていたHさんを思い出してオレも号泣。
今、これを書いていても、6歳のオレをかわいがってくれた、記憶の中にあるカッコいい大男のHさんと、今日涙ぐんでいたHさんが重なって、涙が止まらない。
ムリして日帰り帰省して、ホントによかった。
とても今のオレは立派とはいえないが、闘病中のHさんを喜ばすことができて、ホントによかった。
オレの存在や成長した姿が、Hさんの余生と心の支えになれば、こんな嬉しいことはない。
今日はリアルに「ドラえもん・おばあちゃんの思い出」を体験できた気分だ。
どうしても書かずにはいられなかった。
読んでくれてありがとう。
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